減酒逃避行:番外編「うなぎ串焼き くりから @東中野」
会計を済ませ、レシートを受け取った瞬間、レジのあんちゃんがオレのタバコを掴んで走り出した。何が起きたのかよく分からなかったが、レシートと袋の中身を確認し、他の店員に事情を話してタバコをもらって店を出る。
その時、あんちゃんが戻ってきた。その顔を見て合点がいった。あんた、オレを追いかけていったんだな。タバコは袋に入れないという文化の弊害だ。
おそらく新人で、カウンターにポツンとたたずむタバコを見て、「忘れてる!!」と思ったのに違いない。眼の前にいるオレの幻影を追いかけて、彼は走り始めたのだ。
閑話休題。
お酒とタバコはセット。吸えるお店を探すのはもはや本能なのです。
ソレがおいしいお店なら超最高。そんな最高なお店がここ、「くりから」です。
くりからとは、不動明王の化身である「倶利迦羅竜王」が持つ降魔の剣。に似ているというのが由来という鰻の切れ端串。うなぎをさばいて出た切れ端を、串にぐるぐる巻きつけたら降魔の剣に見えるという寸法です。ステキですね。ちなみに、石川県の郷土料理とのことです。石川県に感謝。
ということで、「くりから」。中野のうなぎ串焼きの名店「川二郎」の流れをくむお店です。というか三代目? 超いいお店です。
くりから、キモ、ひれ。
どれを食べても間違いなく酒が進む。ちょいと感じる苦みが、またいいんですよね。期待通りの味わいが口中にあふれます。ひれはけっこう苦みが強いので、ニガテな人もいるかもしれない。最近ちょいと値上がりしたようですが、それでも、牛丼屋でうなぎを食べる意味が分からないですねえ。
ばら、短冊。ばらは鰻の赤身っていうおはなし。短冊は、いわゆるちっこい蒲焼き。
どちらも肉厚でジューシー。ああ、言ってしまった。ジューシーとフルーティは禁句だろうと、飲みながらいつも若者に苦言を呈しているのに。まあ、それは日本酒の話だし。とにかくおいしいんですよ。
ただ思うのは、うなぎを堪能したいんなら、短冊よりもくりからだなって。切れ端=背中の肉っていうことになるそうなんですが、食べ物は何でも端っこがうまいなんて話もあるでしょう。なんかうま味が凝縮されている気がします。はい、リピート。
ネギってなんか頼んじゃうんですよねえ。なかはトローリ。焼き加減も最高です。
最後にうな刺し。これで口中さっぱり、準備万端。いやもう帰るよ。
バイスサワーがあるのもうれしい。見かけると、ついつい頼んじゃうんですよね。料理とあうかは置いておいて。まあ、デザートということで。