減酒逃避行:10/62 「玉ひで 親子丼 テイクアウト専門店 @人形町」
訪問日:2024年12月7日(土)【2025.06.28 UP】
Tips01:言わずと知れた親子丼発祥の店
Tips02:ふわとろ卵と旨味の強い鶏肉。米も立ってます
Tips03:テイクアウトだから栄養成分と原材料が見える
Tips04:イートインスペースとしてカウンター5席
Tips05:営業時間11:00~14:00(土日~15:00)、16:00~19:00
Tips06:訪問時、開店時間に並びはなし。回転も悪くない
Tips07:現金 or 交通系IC対応
Tips08:いちおう書いておきますと、禁煙です
老舗はその存在そのものに価値がある。体験しておくことに意味がある
老舗飲食店は、その凛とした佇まいから美しい。歴史的な価値や文化的な意義も大きい。
浅草最古の鉄筋コンクリート造建築物で、国の登録有形文化財でもある「神谷バー」(浅草)。
東京都選定歴史的建造物、鳥すきやき「ぼたん」、蕎麦「神田 まつや」、あんこう鍋「いせ源」、甘味の「竹むら」(すべて神田)。
日本最古のエレベーターが現役で稼働する、中国料理「東華菜館」(京都)。
老舗は、まず建築物として魅力的なところが多い。日本最古のエレベーターなんて、ぜひ1回乗ってみたいところです。
ここ「玉ひで」も1760年(宝暦10年)創業のスーパー老舗。
建物自体も魅力的でした。が、2022年に老朽化を理由に建て替え工事が開始されました。
コレが解体前の「玉ひで」の姿。
戦時中の強制疎開の折りに取り壊された旧店舗の跡地に建てたものだというコトで、完成したのは1956年(昭和31年)の秋。スーパー老舗ではありますが、そこまで古い建物ではなかったんですね。とはいえ、武家屋敷を彷彿とさせる端正な佇まいです。
建築中のビルは12階建てですが、「玉ひで」が入る1・2階部分は、元々の建物の雰囲気を再現しようと試みているようです(2025年6月現在)。完成したらもっと「らしく」なるのでしょう。楽しみです。
しかし、工事は遅れに遅れ、当初2024年秋口竣工の予定が、2025年6月時点でもまだ完成しておりません。
竣工予定はどんどん貼り換えられてゆく。2025年5月時、仮囲いに掲示された竣工予定は「2025年9月後半」になっていました。頑張れ生和コーポレーション。
定点観測みたいになっていますが、コレは、玉ひでビルとなりの「来福亭」に臨時休業やらなんやらでフラれ続けているから。目的地は「来福亭」。憧れのオムライスとメンチカツが食べられるのはいつの日か。
臨時休業くらいすぎ問題。
— うんぴこ (@ak80u) 2025年6月21日
小さなカレー家(大久保)→ほうきぼし(赤羽)→高本製麺所(神谷町)→来福亭(人形町)。 pic.twitter.com/LypPVAuqAC
閑話休題。
本店を建て替えている間、このテイクアウト専門店が開設されました。メニューは「極 鶏だし親子丼」のみ。1,350円です。
元祖というのは尊いものだ。ありがとう親子丼
ここ「玉ひで」は、言わずと知れた親子丼発祥のお店。
そもそもは軍鶏なべの店で、鬼平犯科帳の「五鉄」のモデル(諸説あり)で、客が残った割下を卵でとじて、お玉でご飯にのせて食べていたのを見て「親子丼」を開発したというのが1891年(明治24年)。
ただ、長らく出前限定で、店で提供するようになったのは1979年(昭和54年)とのこと。親子丼が世間に浸透したのって、意外と最近の話なんですね。
個人的には、「鬼平犯科帳」と言えば「中村吉右衛門」で、EDはジプシーキングスの「INSPIRATION」。いま聞いてもシビれます。時代劇のEDにジプシーキングスを使おうと考えた人は天才ですね。何をどうやったらこんな選曲になるのか。
とはいえ、ここは仮設店舗。そんな趣はありません。
基本的にはテイクアウト用の店舗ですので、イートインはカウンター5席のみ。テイクアウト専門店でイートイン。頭が痛くなりますね。
プラ容器で供され、プラスプーンで食べるこのスタイルには賛否両論があるようです。でもさ、そもそもが出前専用メニューだったワケですよ。原点回帰とみるコトもできるのでは。
また、軍鶏なべ屋さんで、現在は「東京軍鶏」がウリなワケですが、先代が「すき焼きに使うためにつくった鶏だから、親子丼にこの東京軍鶏を使いたくない」(親子丼600円時代)と言っていたそうで、親子丼のオリジンは軍鶏ではない。この親子丼も軍鶏ではない(たぶん)。ただ、たまごはふわトロ、鶏肉はぷりぷり。すべてがアチアチで、コメもおいしい。玉ひで特製七味もよく合います。個人的には山椒があったほうが嬉しいですが。
「極意」だとか「進化」みたいなよく分からない冠をつけた親子丼より、よっぽど理想的なんじゃないかと思います。というか、ネーミングにセンスの欠片も感じられない。おっさんが頑張ってる感が否めない。調理だけしていてどうぞ。
テイクアウト専門店だからこその面白みもあります。まず、店舗がコンパクトなので、厨房が見える。調理風景は、いままでそんなに見るコトができなかったのでは。
そして、テイクアウトなので、「食品表示法」に基づき原材料等々が表示されている。こういうの見るの大好きなんですよね。ちなみに、こんな感じです。
栄養成分表示(一人前)(推定値)
熱量:893kcal、たんぱく質:41.3g、脂質:30.0g、炭水化物:98.1g、食塩相当量:3.0g
原材料名
ご飯(国産米使用)、鶏肉(もも肉)、卵、本みりん、醤油、酒(一部に卵・小麦を含む)
メインのみりんは宝酒造の本格米焼酎仕込「寶本味醂」(他数種類ブレンド)。醤油はヒゲタ醤油の「本膳」だというコトです(一子相伝が信条のため、支店は異なるそう)。ちょっと買ってみたくなりますね。
使われている肉はもも肉のみです。個人的にはその方が好ましいとも思います。たんぱく質が41.3gというのは、かなり優秀な部類。個人的に、たんぱく質単価というのを考えてしまうのです。ちなみに、有名チェーン店のたんぱく質単価は以下の通り。
たんぱく質1gあたりの価格は
なか卯親子丼:450円÷31.5g≒14.3円(なか卯栄養成分情報より)
吉野家牛丼並:498円÷19.6g≒25.4円(吉野家メニュー全情報より)
価格差は約11.1円。
∴なか卯は超コスパである。Q.E.D.
玉ひでの「極 鶏だし親子丼」は、1,350円÷41.3≒32.7円となります。
ともあれ、間違いなくウマい。どこをすくっても鶏肉がある。コレが元祖なのだ。レビューを見るに、けっこう好みが分かれているようなのですが、食べておくコトに意義があるレベルの代物。歴史を食べるのだ。
(価格は2025年6月現在。すべて税込)
おれが親子丼だ。そんな凄みがある。一度は食べておいたほうがよい
接 客:★★★★★★★☆☆☆
味 :★★★★★★★☆☆☆
雰囲気:★★★★★★★☆☆☆
総評:玉子丼にしてもおいしいと思う。さすがの割下。砂糖不使用なのに甘い。これこそが親子丼なのです。すばらしい。個人的に大好きです。